札番 第30番星川山 安渡寺
お寺の歴史(縁起)
桑名市文化財指定
聖観世音菩薩御縁起
抑も壇上御厨子の内に安置し奉る尊像は今を去る約壱千年前藤原中期の作にして、蓮花座、舟形光背共に1尺5寸、仏身1尺の小像、檜材一木造り、当初は檀像様の木地仕上げに多少彩色があつた様にも思われるが確かではない。造立は藤原初期に見え、全面肌荒れの為め衣文綜が崩れて明確でないが、密教系、藤原中期の作と推定され、左手に蓮花を持ち、右手をあげ胸前にて施無畏手(せむいしゆ)の印を結印し、御面相は、ものやわらかな微笑を含む出来である。
肩にかゝる天衣や正面の裾衣の太い陰影、背面の簡略した彫刻に小像らしさが見られる。復元した蓮花座に立たれ一枚板の舟形光背を背景にして見ると本来の具わった時代の調子が浮かび出る。聖観音とは化身(観音は三十三に化身する)しない本来の姿を言い、檀像小像は天台宗寺院においては本尊に次ぐ重要な仏像として平安朝前期以来優秀小像が作られて残っている。
本像もたしかにその一躯で有る。安渡寺は古来、天台宗末寺の(星川の観音さん)として知られていたが、それを裏付ける史料として四日市市冨田町善教寺の重要文化財、阿弥陀如来胎内文書、藤原実重の(作善日誌)があり、同日誌の初めに、貞応2年(1223年)(ほしかわの御堂葺くに銭百結縁す)嘉禄2年(1226年)10月(ほしかわの湯釜に銭百結縁す、心経2800巻よみ参らす)などが見られ、鎌倉前期に観音堂が有り、在所においても湯を沸かして施行された事が判る。(あまつほしかわせにかげのうつるより、やすくわたると、みゆるものかな)と云ふ御詠歌が有り、新西国30番、伊勢31番の札所として知られ、殊に子安観音として安産守護の霊験あらたかなり。開運、厄除の守護としても衆生の信仰厚く、毎年1月10日初観音会を執行し新年の家内安全、開運、厄除の祈願を行う。8月10日は十日観音(十日盆)の大祭を盛大に執行す。
付記
昭和31年7月15日桑名市指定有形文化財に指定さる。
○『勢陽雑記』
星川山安渡寺 本尊千手観音、伊勢順礼三十番目と云々。歌に
天津星川瀬に影のうつる夜はやすの渡りと見ゆるものかな
概要
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山号
星川山(ほしわかざん)
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寺号
安渡寺(あんどじ)
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宗派
単立
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祭祀
聖観世音菩薩
見どころ
●年中行事
・1月1日:初詣修正会
・1月10日:初観音大法会
・3月春分の日:春の彼岸法要
・8月10日:観音盆大法会
・9月秋分の日:秋の彼岸法要
・毎月10日、21日、28日:ご詠歌法要